Q どの血圧の薬が一番いいのですか?

A 同じくらいの高血圧の患者さんでも、処方されている薬の内容はいろいろです。

たとえば、ご夫婦で高血圧の治療に通っていらっしゃる患者さんから、お二人の薬の内容が全く違うわけを聞かれたことがあります。もっとも適したお薬は、患者さんごとに異なります。

現在、循環器医がよく使う降圧薬は、大きく分けて6つのグループに分類されます。

1.カルシウム拮抗薬(ノルバスク、アダラート、コニール、アテレックなど)
2.ACE阻害薬(レニベース、エースコール、コバシル、オドリックなど)
3.AII受容体拮抗薬(オルメテック、ディオバン、ブロプレス、ニューロタンなど)
4.利尿薬(フルイトラン、ラシックス、ダイアート、アルダクトンAなど)
5.β遮断薬(インデラル、ケルロング、セロケン、メインテートなど)
6.α遮断薬(カルデナリン、ミニプレスなど)

このなかから、患者さん一人一人に合わせて、もっとも適しているお薬を選ぶわけです。
いわば、医師の匙加減が働くところなのですが、ここにもやはりエビデンス(科学的根拠)に基づく正しいやり方が存在します。代表的なところでは、

○糖尿病や心筋梗塞、腎臓の障害を持つ患者さんには2か3
○狭心症の患者さんには1か5
○心不全のある患者さんには2、3か4、場合により5
○前立腺肥大や高脂血症を合併している患者さんには6

積極的に使用すること。

逆に、禁忌(使用してはいけない)のケースとして、

○妊娠、高カリウム血症、両側腎動脈狭窄の患者さんに2と3
○喘息、除脈、心ブロックの患者さんに5
○痛風の患者さんに4
○立ちくらみ、起立性低血圧の患者さんに6

などがあげられます。

これに加えて、非常に重要なことは、その薬が患者さんの予後を改善するか?すなわち、死亡率、心血管病の危険率を減らせるか?ということです。

この点では、今までの大規模研究から、予後を改善するエビデンスがもっとも豊富なのは4の利尿薬と5のβ遮断薬です。2のACE阻害薬と3のAII受容体拮抗薬も、最近特に心不全に対する予後改善の報告が増えています。

いずれにせよ、一人一人の高血圧患者さんの全身の状態を正しく評価して、その人にもっとも適した、もっとも予後を改善できると予想されるお薬を処方することが、正しいテーラーメード医療であり、循環器内科医としての義務である、と考えます。


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