Q 新しい高血圧治療ガイドライン(JSH2004)について。

A 日本において、日本人を対象とした高血圧の標準的な治療法を目指したものとして、日本高血圧学会が中心になって作成して、2000年に発表された”高血圧治療ガイドライン2000年版” (JSH2000)が今まで広く用いられてきました。

 先日の日本高血圧学会(2004年10月7日ー9日)で、4年ぶりにこのガイドラインの改訂が行われることが発表されました。

 ガイドラインは、大規模な医学研究の結果から、治療を受ける患者さんにとって、もっとも利益の大きい(=合併症を防ぎ、予後を改善する)治療法を目指して作られるわけですが、JSH2000の発表後新たに報告された医学研究の結果から得られた新しいエビデンスに基づき、いくつかの重要な変更点が報告されました。


 <以下に、主な変更点を述べます。>


1.高齢者の降圧目標(どこまで下げるか?)が、年齢によって140-160以下と幅を持たせていたのが、年齢を問わず、可能であれば140/90未満に降圧する、と目標値が引き下げられました。「お年寄りはそんなに下げなくても…」という考えが正しくないことがわかってきたからです。

2.糖尿病、腎障害の患者さんの場合、降圧の目標が130/85未満であったのが、130/80未満と、より厳しくなりました。血圧が低いほうが糖尿病の合併症や腎障害の進行を防げる、というエビデンスに基づきます。

3.食塩制限が今までの一日7g未満から6g未満に改訂されました。欧米の基準に合わせた改訂です。

4.降圧薬のうち、ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)の位置づけがより重要なものになりました。今までは「特にACE阻害薬が咳のために使用できない患者さん」に用いる、といった表現だったのが、同等の扱いになりました。ARBの予後改善のエビデンスが集まってきたための改訂といえます。

(ARBとは、ニューロタン、ブロプレス、ディオバン、ミカルディス、オルメテックといった一群の薬です。ACE阻害薬とは、レニベース、エースコール、コバシル、オドリック、タナトリルなどの一群の薬です。)

5.白衣高血圧と並び、逆白衣高血圧(仮面高血圧)が記載されました。病院での血圧が正常なのに家庭血圧や24時間血圧が高い患者さんのことです。心血管病の危険が高いと考えられています。


JSH2004全体としては、より厳格に血圧を管理している患者さんのほうが明らかに予後がいい(心筋梗塞や脳卒中の発生率が低い)というエビデンスが多く出てきたために、JSH2000に比べて多くの点で厳しい内容になっているといえそうです。







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