Q メタボリック・シンドロームとは?

A 以前、”死の四重奏”、または "deadly quartet" と呼ばれていた病態、すなわち、

肥満

高脂血症 (高コレステロール、高中性脂肪、低HDL血症)

高血圧

高血糖
(糖尿病、耐糖能異常)


を併せ持つ患者さんは、動脈硬化とそれによる心血管病(脳卒中、心筋梗塞など)の危険が極めて高いことが知られています。

 近年、これらの危険因子は決して偶然に重なったのではなく、
その上流に共通の基盤が存在することが明らかになってきました。それは、栄養の摂り過ぎと運動不足による肥満、特に内臓脂肪の蓄積です。

 内臓に脂肪が蓄積することによって、血糖を下げるホルモンであるインスリンの効き目が弱くなり(インスリン抵抗性)、糖や脂質の代謝の異常が起こります。これが
メタボリック・シンドロームです。結果として、動脈硬化が急速に進行して、脳梗塞や心筋梗塞のような血管が詰まる病気になる危険が高くなるわけです。

 フィンランドのKuopio大学で、中高年男性を対象にして行われた研究によれば、メタボリック・シンドロームを持つ人のグループでは、持たない人のグループに比較して、
総死亡が2.43倍、心筋梗塞による死亡が3.77倍、心筋梗塞か脳卒中のどちらかによる死亡が3.55倍と、大幅に危険が増加していることがわかりました。(JAMA 288 2709-2716, 2002)


 以前から外国ではメタボリック・シンドロームの診断基準が設けられていました。たとえば、2001年の
NCEP-ATPIII(アメリカコレステロール教育プログラム、成人治療パネル3版)によれば、


1.ウエスト周囲径  男性>102cm、女性>88cm
2.中性脂肪>=150mg/dl
3.HDL(善玉)コレステロール 男性<40mg/dl 女性<50mg/dl
4.血圧 >=130/85
5.空腹時血糖>=110mg/dl



のうち3項目以上を満たせば、メタボリック・シンドロームと診断します。


先日の日本内科学会でも、
日本人での基準が発表されました。以下がその内容です。


ウエスト周囲径 男性>=85cm、女性>=90cm を満たし、かつ、以下のうち2項目以上を満たす。

1.中性脂肪>=150mg/dl またはHDL(善玉)コレステロール<40mg/dl
2.血圧 >=130/85
3.空腹時血糖>=110mg/dl



ウエスト径が必須の項目になった以外はほぼアメリカの基準と同じです。
中性脂肪、血圧、血糖値などは、どれも単独ではあまり問題にされない程度の軽度の異常であっても、複数がそろうときわめて危険、ということがわかります。

それでは、メタボリック・シンドロームの基準に当てはまってしまう場合にはどうすればいいのでしょうか?

もともと栄養の摂り過ぎと運動不足が原因の病気ですから、対策としてはちょうどその逆になります。すなわち、

適正なカロリー摂取・・・標準体重1kgあたり30kCal前後
運動の習慣・・・1日当たり、最低でも30分間の運動。(できれば60-90分間が望ましい。)


生活が今ほど便利ではなくて、食事の内容も今ほどリッチではなかった時代には珍しかった病気です。
予防と治療には、
”食べ過ぎず、よく動く”事に尽きると思います。

心配な方は、ぜひかかりつけ医にご相談ください。


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