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Physician’s Health Study (医師の健康研究)という有名な大規模研究があります。

 これは、1982年の時点で40歳から84歳のアメリカの男性内科医22、071人について、食事の内容、アルコール、ビタミン服用の有無、運動の習慣、アスピリン服用の有無などの項目で分類し、その後の心血管系の病気の発症率を調べたものです。

 最初に登録された人が数年後に
心筋梗塞脳卒中を起こした時点でエンドポイント、すなわちその人にとっての試験終了とみなされることになります。

 この、前向き研究といわれる方法は研究者の恣意が最も入りにくい、信頼性の高い研究方法といわれています。

 2002年に発表されたこの研究の一部で、
ナッツ心臓病による突然死の関係が明らかにされました。(Archives of Internal Medicine 162 1382-1387, 2002)

 
これは、21、254人の内科医を平均で17年間という長期間にわたって観察したものです。この期間中に201人が突然死しました。

 この人たちの食習慣を詳しく検討した結果、
ナッツを「全く、あるいはほとんど食べない」という人に比較して、「1週間に2回以上食べる人」が心臓病で突然死する危険率は0.53倍、つまり47%リスクが低下していました。

 さらに、
心筋梗塞などの冠動脈疾患で死亡する危険率全体では0.70倍であり、ナッツにより30%のリスク低下が得られました。

 週にたった数回
ナッツを食べるだけでこれほどの心血管疾患予防効果があるとは、ちょっと信じがたい感じがしますが、この研究の対象となった人数が非常に多いこと、対象が医師であるため、経過の記録の信頼性が比較的高いこと、前向き研究であること、などから見て、この結果は真実と考えて間違いありません。


このほかにも、ナッツの予防効果を示す研究がいくつか発表されています。


 
Adventist Health Study (キリスト教アドベンティスト派の健康研究)は、31、208人(このうち約50%は菜食主義者)を対象とした研究です。

 これによれば、
ナッツを週に1回未満しか食べない人に比べて、週に1から4回食べる人の心血管病による死亡の相対危険率は0.76、週に5回以上食べる人の危険率は0.52であり、それぞれ34%、48%のリスク低下が観察されました。また、死亡に至らない心筋梗塞の発症率は、週に5回以上食べる人で0.49と、51%リスクが低下していました。(Archives of Internal Medicine 152 1416-1424, 1992)


Iowa Women’s Health Study (アイオワ州女性の健康研究)では、週に2-4回ナッツを食べる女性の心血管系疾患による死亡率は、全く食べない人の0.43倍、すなわち57%リスクが低下していました。これは、34、486人を対象とした大規模試験です。(The New England Journal of Medicine 329 359-360, 1993) 


Nurses’ Health Study (ナースの健康研究は86016人のナースを対象とした研究です。この中では、ナッツを全く食べない人に比べると、週に1回以下、2-4回、5回以上食べる人の冠動脈疾患の相対危険率はそれぞれ、0.91、0.77、0.65でした。ナッツを食べる回数が増えるとともにリスクの低下度も9%、23%、35%と増していくことがわかりました。(British Medical Journal 317 1341-1345, 1998)

これらの大規模研究の結果を見ると、ただひとつの例外もなくナッツの心血管系疾患の予防効果が示されていることに驚かされます。

 
また多くの場合は
ナッツを食べる回数または量と、予防効果の間には、摂る量が多いほど予防効果が高いという関係(量―反応関係)が成り立っています。このことからもナッツの有益性は間違いないもののようです。

それでは、ナッツによる心血管病予防効果のメカニズムは何でしょうか?

                                                      つづく…