良質のオリーブオイルは少し緑色がかった黄金色です。

 ふくよかな香りがあるため、ゆでたてのパスタにからめたり、サラダにふりかけたり、マリネに使うと、料理にかぐわしい青草のようなエッセンスが加わり、味の奥行きがぐんと広がります。このほか、イタリアでは焼きたてのパンを
オリーブオイルに浸して食べますね。

 最近になって、
オリーブオイルの色、味、香りに加えてもうひとつのすばらしい長所が明らかになってきました。それは、動脈硬化とそれによる病気、脳卒中や心筋梗塞、癌などを予防する効果があるという事実です。

以前から、ヨーロッパの中でたくさんのオリーブオイルを消費する地中海地方の国々、ギリシャ、イタリア、スペインでは、乳癌や大腸癌による死亡率が、消費量の少ない国々、イギリスやデンマークに比べてとても低いことが知られていました。

 1990年代に行なわれたいくつかの研究から、
オリーブオイルの消費量が多いほど癌の発生が少なくなる、という関係が明らかになってきました。(International Journal of Cancer 58 774-780, 1994,  Cancer 82 448-453, 1998

さらに最近になって、スペインのグループがオリーブオイル消費量と、初回の心筋梗塞発作を起こす危険率の関係を報告しました。342人を対象とした研究です。(European Journal of Nutrition 41 153-160, 2002)

 これによれば,
日常的にオリーブオイルを食べている人が心筋梗塞を起こす危険は、そうでない人より57%も低かったのです。また、1日に10g以下しか摂らない人に比べると、38g以上摂る人の危険率はなんと78%も低く、つまり危険がほとんど5分の1に減少していることがわかりました。

 
これは驚くべき数字です。現在得られるどんな薬にも、これほどの予防効果はありません。

その後、イタリアで、172の医療機関で11323人を対象とした共同の大規模研究の結果が発表されました。(European Journal of Clinical Nutrition 57 604-611, 2003)

 心筋梗塞になった患者さんを発症後平均約6年間観察し、死亡率
(原因を問わない)と特定の食品の摂取量の関係を調べた前向き研究です。観察期間に1660人の患者さんが亡くなりました。

 この中で、
オリーブオイルをまったく食べないか、時々食べる、という人に比べると、よく食べる、という人の死亡率は23%低く、毎日食べる、という人では29%低かったのです。

 これらの研究結果から、
オリーブオイルは初めて心筋梗塞を起こす危険を減らすだけではなく、一度心筋梗塞を起こした人の死亡率も下げる、すなわち、一次予防と二次予防効果を併せ持つことがわかりました。

それでは、このようなオリーブオイルの心血管疾患予防効果のメカニズムは何でしょうか?

オリーブオイルに含まれる脂肪酸のうち、約80%が、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸です。

 オレイン酸は、血液中のコレステロール、中でも
悪玉(LDL)コレステロールを減らすことが知られています。一方で、善玉(HDL)コレステロールは減らしません。また、多価不飽和脂肪酸に比べて、一価不飽和脂肪酸を多く含む油は酸化されにくく、有害な過酸化脂質を作りにくいというメリットがあります。

 健康な男性の食事に一日50
g
オリーブオイルを加えて食べてもらったところ、わずか1週間後には、リポ蛋白が過酸化されにくくなる効果が証明されました。(Annals of Nutrition and Metabolism 37 75-84, 1993) 

 こうした血液中の脂質を改善する作用によって、
オリーブオイル抗動脈硬化作用を説明できると考えられてきました。

 しかし、それだけではなかったのです。



                                                     つづく…    



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