イタリアやスペインのランチのテーブルには、大きなサラダボウルに山盛りの野菜が並びます。南イタリアでは、真っ赤に熟したトマトをピューレにしたものを大量に瓶詰めして保存し、1年中料理のソースのベースとして使っています。南フランスの名物料理であるブイヤベースや、スペインの冷製スープのガスパチョも、トマトをベースにした料理ですね。

 また、コンポートに山盛りにしたフルーツが食事の締めくくりとして出されることもこの地方では一般的です。

“野菜と果物”もまた、地中海ダイエットの中の重要なキーワードです。

 地中海地方の人たちは日常的にたくさんの野菜と果物を摂っています。実際、北ヨーロッパの国々と比較すると、地中海沿岸のヨーロッパ諸国の野菜消費量はずっと多いです。もともと気候が温暖で、四季を通じて野菜や果物がよく生育するこの地域では、伝統的に食卓にさまざまな野菜と果物類を取り入れてきたのです。

 北ヨーロッパでは、特に冬の間は野菜類を手に入れることが難しかったため、必然的に芋や豆類に頼ることになり、葉野菜やかんきつ類などはあまり食卓に上りませんでした。この食習慣は、生鮮食料品の流通が容易になった現代でもそれぞれの地域の特色として残っています。

国連のFAO(Food and Agricultural Organization) が発表している国別の1年間、1人あたりの野菜消費量(2000年)を見ると、ヨーロッパ北部に位置する国々、たとえばノルウェーの59.0kg、イギリスの83.9kg、ドイツの73.9kgに対して、地中海沿岸の国々では、フランスの130.6kg、イタリアの185.5kg、ギリシャの292.6kgなど、ずっと多い量の野菜を取っていることは明らかです。

 日本はどうでしょうか?

 日本人は年間111.6kgと、北ヨーロッパと地中海地方の中間の量の野菜を摂っています。まずまず合格、といったところでしょうか。ところが、果物を食べる量に関していうと、日本は世界レベルに全く及びません。  
 
 1年間、1人あたりの果物消費量
を見ると、日本人は年間一人当たり111.6kg、野菜とほぼ同じ量の果物を摂っていますが、これは地中海地方、フランスの207.7kg、イタリアの309.4kg、ギリシャの356.1kgに遠く及ばないばかりか、北ヨーロッパ、ノルウェーの237.7kg、イギリスの184.6kg、ドイツの289.4kgと比べても大きく下回っています。

 アメリカでは年間1人当たり125.6kgの野菜と274.4kgの果物を摂っています。どちらも日本人の平均を上回っています。大学の研究室でも、大学院生たちがビニール袋からリンゴやバナナを取り出してむしゃむしゃ食べる姿を良く見かけます。

 日本では果物の価格が非常に高いことなどもネックになっていると思われますが、これからはもっとたくさんの果物を食卓に取り入れていくようにしたいものです。味と香りを楽しめるほかに、健康にとても良い効果があるというエビデンスが次々に出てきているのですから。

 特に、日本人は欧米人に比べて心筋梗塞は少ないのに対して、脳卒中はむしろ多い傾向があります。果物の摂取が脳卒中の予防に有効であるという報告がされていますから、足りない果物摂取を増やしていく努力が必要と思われます。


                              
つづく...


 

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