前出のフィンランドからの論文の中では、食品の中のさまざまな栄養素の摂取量と総死亡率の関係についても個々に検討しています。

 総死亡率の低下と関係があることが証明された栄養素は、

ビタミンC葉酸リコピンビタミンE
で、

それぞれ
野菜、果物、ベリーの予防効果

10.4%6.5%5.6%5.3%を説明する、

という結果でした。

ホモシステイン葉酸

同じグループが、葉酸の摂取と心筋梗塞の関係について、別の論文で詳しく報告しています。

 対象者を
葉酸の摂取量に応じて5つのグループに分けた場合、最も葉酸の摂取が少ないグループから、最も多いグループまで、順に1日あたり、@211mgより少量、A211−236mg、B237−261mg、C262−297mg、D297mgより多量、となりましたが、心筋梗塞のリスクはそれぞれ@1.00、A0.76、B0.64、C0.53、D0.45、と、

      
葉酸の摂取量が多いほどリスクが低下する

というきれいな直線的関係が認められました。
(Circulation 103 2674-2680, 2001)

葉酸は人間の体内で合成することができないビタミンの一種です。

 体内ではDNAの合成に際して、アミノ酸の一種である
ホモシステインが必須アミノ酸のひとつであるメチオニンに変換されますが、その際に葉酸の存在が必要です。そのため、葉酸の摂取が足りないと体内にホモシステインがたまってきます。

 この血液中にたまった
ホモシステインが、動脈硬化を強く促進する物質であることが最近の研究でわかってきました。そのため、疫学的には、葉酸を充分取らないと心筋梗塞が増加する、という結果となって現れてくるわけです。

 
葉酸は多くの野菜や果物類、なかでもホウレンソウなどの葉野菜や、かんきつ類や、バナナなどに多く含まれていますから、野菜と果物による心血管病予防効果のなかにかなり寄与していると思われます。この、葉酸 ホモシステインと動脈硬化の関係が明らかになってきてから、1997年にアメリカでは葉酸摂取量の基準を1日180mgから400mgに引き上げました。1日400mgという量は、ホモシステインの良好な代謝に充分であるという判断に基づいています。

前出のKuopio大学の研究では、心血管系の病気による死亡のリスクを下げるのに、野菜や果物に含まれる、

ビタミンCが 19.4%、
葉酸が    14.6%、
ビタミンEが  1.9%


それぞれ寄与している、という推論を出していました。ビタミンCやビタミンEの抗酸化作用は、LDLの酸化を防いで、動脈硬化性の病気を防いでいると考えられます。

 それでは、ビタミンCやビタミンEをサプリメントの形で毎日摂ったらどうでしょうか?

ハーバード大学のグループが、40−75歳の男性43、738人を対象として、ビタミンC,ビタミンE,何種類かのカロテノイド(α―カロテン、β―カロテン、ルテイン、リコピン)の摂取量と脳卒中の危険度の関係を8年間にわたって調べています。

 その結果は意外なものでした。サプリメントからこれらのビタミンやカロテノイドを多くとっている人たちの脳卒中のリスクは、そうでない人たちと比較して、変わらなかったのです。(Annals of Internal Medicine 130 963-970, 1999)

 このほかにも、ビタミン,サプリメントと心血管病のリスクを検討した研究がいくつかありますが、結果はまちまちで、はっきりとしたサプリメントの予防効果を示している研究はありません。

現時点でいえることは、野菜と果物を食べることによって得られる心血管疾患の予防効果、死亡率低下効果は、単純にビタミンだけで説明されるものではなく、ビタミンやサプリメントで野菜と果物代わりにはならない、ということです。やはりサプリメントではなく、野菜と果物を食べる量を増やすことによって、脳卒中や心筋梗塞の予防をするべきだといえます。

                                                  つづく…







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