トマトリコピンの摂取はどのくらいの頻度で必要なのでしょうか?


ある研究によれば、健康人がリコピンを全く含まない食事を2週間続けたところ、血液中のリコピン量は50%低下しました。また同時に体内での脂質の酸化を測定したところ、25%の増加が観察されました。(Nutrition Research 18 713-721, 1998) 

 この結果からすると
,少なくとも1週間に数回
リコピン(トマト)を摂ることが、脂質の酸化と動脈硬化を予防する上では必要と思われます。

このほかにも、リコピンによって肺癌、乳癌、卵巣癌、大腸癌の危険が低下するというエビデンスが集まりつつあります。

酸素を呼吸することは人間が生きていくうえで必要不可欠ですが、その一方で吸入された酸素の一部は、体内で活性酸素、フリーラジカルを生み出します。

 これらは体内で悪玉(LDL)コレステロールと反応して酸化LDLを作り、動脈硬化を進めて心筋梗塞や脳卒中の危険を高めるばかりでなく、いろいろな蛋白質や酵素とも反応し、障害を与えます。肉体の老化を起こす重要な犯人とも言われています。

 また、活性酸素、フリーラジカルの最も危険な作用は細胞内の遺伝子、
DNAと反応して変異させることです。このDNAの変異がほとんどすべての癌が発生する最初の段階(イニシエーション)なのです。

 
野菜や果物に含まれるさまざまな抗酸化物質フリーラジカルスカベンジャーを摂ることによって、この危険な活性酸素、フリーラジカルを取り除くことができます。この中でもリコピン抗酸化活性フリーラジカル除去効果は抜群に強く、トマトの心血管病予防効果と癌予防効果を際立たせているのです。


トマトは料理して食べよう

普通、野菜や果物はフレッシュな、生の状態で食べるのが一番健康にいいイメージがありますね。事実、ビタミンCなど、加熱することによって失われてしまう物質もあり、多くの野菜はあまり加熱し過ぎずに食べるのが一番です。

 しかし、面白いことに、前述の
Health Professional Follow-up Study(医療従事者追跡調査)では、生の
トマトよりも、むしろ加工品のトマトソースのほうが強い前立腺癌予防効果を示していました。これはどうしてなのでしょうか?...... 

リコピンにはシス(cis-)型、トランス(trans-)という異性体の型が存在します。生のトマトに含まれているのは、ほとんどトランス型ですが、人体にとって、より吸収しやすいのはシス型なのです。

 そして、
トマトを加熱、調理することによって、トランス型のリコピンがシス型に変化することがわかっています。

 また、生の
トマトの中では、リコピンは細胞膜にかたく結合していて、水に溶けにくい形になっていますが、加熱によってこの結合が弱まり、吸収しやすい状態になります。これらのメカニズムによって、生のトマトをそのまま食べるよりも大量のリコピンが、料理したトマトから得られるようになるわけです。

リコピンは疎水性、つまり水に溶けにくく、油に溶けやすい性質を持ったファイトケミカルです。そのため、地中海地方でトマトオリーブオイルと一緒に加熱して食べる方法は、リコピンの体への吸収を最大限に高める理想的な食べ方だといえます。伝統的な食習慣には、合理的な意味があるのですね。

地中海ダイエットの重要な要素である野菜と果物のなかでも、トマトの役割はとても大きいものがあります。ヨーロッパ地中海地方の人々の、低い心血管病と癌発生率のかなり大きい部分がトマトリコピンによってもたらされていると考えられます。

 幸い日本でも、生の
トマトの他、缶詰のトマトソース、ホールトマト、トマトジュース、トマトケチャップなど、さまざまな加工品が簡単に手に入ります。毎日の食卓にトマトを、時には生で、時にはオリーブオイルと一緒に料理して、取り入れてください。

 あの
トマトの真っ赤な色(リコピン)が体の中で活性酸素やフリーラジカルと戦って、心血管病、癌、老化を予防してくれるのです。



                                           野菜とトマトの話 おわり





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